Case study

貿易事例

世界で新たな市場を創る  

2022-05-22

梅酒屋 創業者上田さんとの出会い

株式会社梅酒屋の創業者の上田 久雄さんとお会いしたのは私が創業間もない頃でした。 

大阪商工会議所の方からの紹介で是非会って欲しい面白い人がいると、聞いたことを今でもはっきりと覚えています。 

その後、数年間の交流があったものの、特に仕事の取引などはなく、お互いの事業や自分達の将来について語り合うという理由でお酒を呑み交わしていたような気がします。その後、弊社のブログにも書かせていた通り、2014年に初めて台湾の企業に輸出を行い、販売が開始しました。 

その時の様子はこちらをご参照ください。(https://hishinumatrading.com/blog/%e7%a5%9d%ef%bc%81%e6%a2%85%e9%85%92%e5%b1%8b%e5%8f%b0%e5%8c%97%e3%82%aa%e3%83%bc%e3%83%97%e3%83%b3/) 

梅酒屋 都島店の様子

シンガポール進出

その後、中国、香港、タイの企業への輸出も始まり、梅酒屋の海外展開は徐々に拡大をしていきました。当初、弊社は商社として、輸出のサポートをおこなっているだけでしたが、拠点のあるシンガポールでも販売できるのではないかと考え、2018年にシンガポールで消費者向けのイベントに参加してみたのです。その時の販売実績を踏まえて、シンガポールで消費者向けに販売を開始したのです。2018年のイベントの様子はこちらをご参照ください。 

https://hishinumatrading.com/blog/%e6%a2%85%e9%85%92%e3%83%97%e3%83%ad%e3%82%b8%e3%82%a7%e3%82%af%e3%83%88/) 

直接、消費者に販売し、反応を知る

ただ、シンガポールの店舗家賃は日本と比べても非常に高く、定期借地契約なので途中解約が基本的にはできない条件であることも踏まえて、店舗は持たずにオンラインショップ及びポップアップやイベントでの販売から開始しました。オンライショップを作ることも、そもそもB2CのビジネスもECの経験も無い中で、開始したことは無謀だったかもしれません。実は、2018年のイベントの前に、いくつかのシンガポールの食品商社と商談をしていたのですが、比較的価格が高い私達の商品の取り扱いには至らなかったという経緯がありました。その経験を踏まえて、一度、消費者が買ってくれるのか、どうなのか知りたかったというのが、イベントに参加した実情なのです。

コロナ規制により試飲ができない中でも
味のイメージが分かる味マップ

当初、シンガポールでの販売の約9割は、オフラインのイベントやポップアップで、ECでの売上は微々たるものでしたが、その後、新型コロナの影響でイベントは全てキャンセルとなり、オンラインでの販売に切り替えざるを得ない状況になりました。外部のパートナーの力も借りて、SNSや広告の運用などを活用しながら、徐々にオンラインでの売上が伸び始めた頃に、高島屋から声が掛かり、ポップアップショップでの販売をおこないました。また、とんこつラーメンで有名な一風堂でのイベントに参加させていただくことができるようになりました。その後、販売が好調との理由から、一風堂では、常設でメニューに加えて販売をしていただくようになったのです。

高島屋店舗の様子

今後はシンガポールでのオンラインショップでの売上拡大を進めながら、新たなメンバーを募集して、飲食店やホテルなどへの営業活動にも力を入れていくことにしています。

梅酒屋ロンドンの設立

そして、2020年3月に英国(ロンドン)に会社を設立し、梅酒屋ロンドンの運営をおこなっています。タイミング悪く、会社設立と同時に新型コロナの影響でロックダウンとなり、銀行口座も開設ができないまま、約半年、お酒の販売ライセンスを取得するのに約1年と、会社を設立してもなにもできない、苦しい時期が続きました。

英国では、そもそも梅酒への理解がほぼないに等しいと考えなければなりません。そこでワインソムリエの方に、味の評価や味の表現についてアドバイスをいただいたり、日本食の研究家の方と梅酒のペアリング企画をおこなったり、少しでも英国の方々に知っていただくような施策を考えてきました。また、飲食店や小売店への営業活動も規制緩和に併せて徐々に開始し梅酒ファンを作っていきました。そのような活動の中で現地のメディアに掲載されるようになりました。
一番大きな影響を受けたのはFINANCIAL TIMESで私達の活動や商品を大々的に紹介をしていただいたことです。

2022年1月25日掲載
https://www.ft.com/content/eafefba0-ab9d-41f5-8c04-df40419dc63a#comments-anchor

その記事を読んだ大手ディストリビュータから連絡が入り、トライアルオーダーで200本余りのご注文をいただくことができたのです。同社の顧客は数千の飲食店や小売店なので、トライアルの反響が良ければ、定期的且つ大口の販売に繋がる可能性があると考えています。これまでの経験で梅酒を購入される方の多くは女性で、それほどお酒が強くない傾向にあると感じています。また、日本のお酒(例えば日本酒や焼酎)の中でも、アルコール度数が低く、また、梅酒屋の梅酒は果実も多いことから、フルーティーな味わいになっています。従って、食前酒や食後のデザートワインのように、また、カクテルとしても親しまれるのではないかと考えています。上田さんと最初にお会いした際「うちはお酒を売らない酒屋です。お酒のシーンを提案しているんです」と、おっしゃっていました。今、私たちがシンガポールや英国でおこなっていることは正にこの言葉の通りだと考えています。

梅酒屋の梅酒を使って作ったオリジナルカクテル
現地のお酒と比べてどう違うのか?テイスティングしコピーを書き起こしてもらっている様子
現地の料理研究家とコラボ
1人以上と屋内の画像のようです
梅酒を試飲してもらっている様子

飲みもん、屋内と、「GINGER PREMIUM PREMIUM GINGER HishinumaT M -UK MESHUYA」というテキストの画像のようです

シンガポールに於いても、英国に於いても、新たな市場で、新たな商材を販売してくことの難しさを痛感していますが、逆に言えば、それぞれの国の方々に知っていただき、喜んでいただく姿を見るとやりがいを感じることができます。日本の酒蔵もそして、それこそが菱沼貿易の役割ではないかと考えています。まだまだ、スタートしたばかりのビジネスですが、オンラインからオフライン(O2O)のビジネスモデルを定着させ、梅酒以外の新たな商材の販売にもチャレンジしていこうと考えています。

屋内の画像のようです
フランス展示会にも出展し他の欧州諸国への進出も目指す

梅酒屋シンガポール
https://www.umeshuya-singapore.com/

梅酒屋ロンドン
https://umeshuya.co.uk/

菱沼貿易株式会社
菱沼 一郎

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