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貿易コラム記事

デザイン……と、世界。

2021-08-15

日本の市場と世界の市場を比較すると、当然のことながら市場規模はケタ違いの差があります。単に、対象となる人の数がケタ違いに多いだけではありません。文化や生活レベル、宗教観など多種多様な違いや差が存在します。デザインは人間の感性の話だから万国共通では?と考える人もいるでしょうが、全然そんなことはありません。デザインの好き嫌いや価値観の違いは、日本人の間でも顕著な差があることでもわかる通り、世界に向けてデザインするとなると並々ならぬ苦労があります。日本と世界のデザインの違いについて考えるとともに、菱沼の経験や考察もご紹介します。

日本の当たり前は、他国では当たり前じゃない!?

ある場所に長く住むと、その場所の常識が自分自身の常識になります。これは当然のことで、何も悪いことではありません。ただ、世界を相手に勝負をするなら、デザインにおいてもより高い視野、さらには暮らしている地域の常識に囚われないデザインが必要となります。しかもそれはグラフィックデザイン、ウェブデザイン、さらにはユニバーサルデザインにおいても同じです。

例えば、会議前に出欠表を作ったとします。該当する人は参加か不参加を記入するのですが、日本では、参加できるなら「○」を、不参加なら「×」を記入して提出するでしょう。しかし海外では認識の仕方が180度異なります。「×」はネガティブな意味で使いません。要するに、「×」を記入すると「参加します」という意味に認識され、日本とはまったく逆なのです。そして「○」は「まだ決まっていない」という意味に捉えられるようです。日本以外の世界各国を見渡せば、「○」に関する解釈は国ごとに異なるようです。

また、家庭用ゲーム機『PlayStation』シリーズのコントローラーのボタンにある「◯」「△」「□」「×」 のボタンは、日本と海外で役割が異なります。日本向けコントローラーは、決定が「○」ボタン、キャンセルは「×」ボタンになっていますが、それ以外の国のコントローラーは決定が「×」ボタン、キャンセルが「○」ボタンになっています。日本だけが異なるようです。ちなみにボタンの役割変更は、ユーザーが設定画面からいつでも可能です。

同じ色でも、抱くイメージは国ごとに異なる

色についても日本とそれ以外の国々では、イメージや印象が異なります。

例えば、日本は男性は「青」、女性は「赤」のイメージがあり、トイレのサインなどもそのように色分けされていますが、日本以外の国ではそのようなカラーイメージがある国はありません。ですからトイレのサインは男女とも「同じ色」という国が多いです。これは色弱者への配慮なども含まれており、一概に日本とそれ以外の国との違いとは言えないものですが。

また車の色についても、日本では車のイメージカラーには原色が採用されることが多いですが、実際に売れるのは白や黒がほとんど。逆にヨーロッパなどでは高級車であるほど、車のイメージカラーはシルバー系になりますが、売れているのは別の色ということが多いように感じます。

これは、車だけじゃなく家電などでも感じることです。 世界各国へ出張に赴く菱沼によると、アジアはネオンサインに代表されるような原色系の広告が多く、イギリスなどはシックなカラーリングの広告が多いように感じるそうです。タクシーの色も国ごとに異なっていて、イギリスは黒、日本も関西は黒が多く、関東はカラフルです。アメリカは黄色で統一されていますね。ちなみに香港のタクシーは赤で、シンガポールは赤や青、黄など、タクシー会社ごとに色は異なりますが、多くのタクシー会社がカラフルな色を採用しています。

マスをパーソナルに受け取らせる海外のECサイト

Webサイトのデザインにおいても、日本と海外の国では嗜好が異なるようです。

例えば、ECサイトのWebデザインでは、先述のマークや色に関する国ごとの嗜好やイメージの違いが、売上という数字によって証明されます。例えば、日本や欧米諸国での「白」は、清潔感を象徴するイメージですが、中国では「高貴」などの意味と同時に、「陰湿」や「不吉」を象徴するイメージです。国によって、同じ色に抱くイメージが異なるのです。

菱沼によると、日本のWebサイト、特にECサイトは情報過多とも言える量の説明文が入ります。しかし、欧米では説明文は最小限にして写真を大きく扱い、写真からのインスピレーションを大切にしています。これは、価値観やライフスタイルが異なる人々すべてに合わせた説明文が用意できないためだろうとのこと。そこで、多様な人々の存在に対応するために象徴的な写真を見せ、見た人それぞれが自分たちの現状に合わせて想像力を駆使することで理解してもらうことを狙っています。マスをパーソナルに受け取ってもらうための戦略と言えるでしょう。

海外進出するつもりの商品が、日本で大人気、あるいは日本のECサイトで売れているといっても、文化も社会的背景も異なる日本以外の国で、同じ商品、同じデザイン、同じ戦略が通用するとは限りません。その国の特徴や文化などを把握した上で、商品、デザイン、戦略をローカライズすることが成功への近道だと考えます。

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